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芦之湯温泉 きのくにや -2

箱根の知られざる 豊かな味わいの湯を巡る その4

~ 老舗の名湯 : きのくにや  立ち寄り湯ゾーンの温泉浴槽


 東京に居て、黒湯にばかり浸かっていると、時たま硫黄の臭いが恋しくなってくる。硫黄の香りがする白濁した温泉は、とっても憧れる存在である。濁り湯と謂う言葉の響きに、肌寒くなってきた秋口頃から、なんとなく温泉へ行きたいという想いが強まってくる。



 《きのくにや》には、さまざまなタイプの浴槽がある。さながら、温泉のバイキングのようなものだ。でも、そういう形容は、温泉通からは、いささかウケがよろしくない。何故なら、この温泉が持つ、こだわりや強みが見て取れないばかりか、互いにその泉質が有する良さを打ち消してしまう惧れすら生じてくるからだ。



 中国茶の世界でも、ブレンドされたお茶はご法度である。なぜなら、単一の畑で取れた、均一的な茶葉が、もっともその馥郁たる香りを楽しむのに最適であるからだ。トップグレードの茶葉に別の畑の茶葉を混ぜる必然性は考えられないからである。



 最適化という表現がある。でも、それはたぶんに作業効率やら、経済効率を考えた上での、まやかしに過ぎないとさえ思うことがある。お湯をブレンドしなければいけない意味合いに、最適化の弊害が覗かせている。
 独自源泉と町営供給泉、造成泉と自然湧出泉、そういうインフラの違う温泉が混在して斑模様となっているのが、観光立国=箱根なのである。



 そこには、さまざまなしがらみと、やっかみ、成功者と没落者、温泉の恩恵を受けながらも、それを思うようにかたちにできない難しさも多分に潜む。そのよどみは、お湯を白濁させ、文字通り、問題の核心を濁して、素通りしてしまおうとする。



 館内には、ふたつの大浴場があって、濁り湯の内湯の屋外に、神遊風呂と名付けられた、小さな掛け流しの源泉浴槽がある。これぞ、我らが求める、まっとうな温泉のイメージに他ならない。



 冬場には、たしかに寒い、ただの水風呂といった印象なのかもしれないが、これこそ、年間通じて36℃前後で、芦之湯本来の源泉として、偽らざる真のすがた、ありのままの源泉を示しているものなのである。



 大浴場・貴賓殿には、屋外の露天岩風呂として、この一見すると透明で、けれんみの無い町営源泉が注ぎ込まれている。濃厚な印象をもった硫黄のお湯と、あっさりとして、しみじみ浸かれる透明な湯、この対比が、実は、このきのくにやの贅沢でもあり、強力なウリでもある。



一般の観光客が温泉地に求めるのは、見かけの良い白濁した温泉であって、それが造成泉であろうが、自然湧出であろうが彼らのご都合主義で、そのつど決定されている。



 しかし、以前よりも人々の意識が変わり、好みも多様化し、本物を求めていく志向も強くなったように思える。旅館とて、その動きに沿って、微妙なマイナー・チェンジが要求されている。


* 日帰り立ち寄り湯 : ☆☆☆ 1000円

二つの大きな浴場が別々の棟に分かれて、それぞれに内湯と露天風呂がある。
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