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内田百閒の件(くだん)

内田百閒の件(くだん)



 内田百閒の故郷、岡山には、牛窓という地名があったりする。岡山では、人面牛の伝説が多いらしい。件とは、くだんと読んで、にんべんに牛であるから、文字通り、人の顔を持った牛を意味する。



 百閒は、そんな地元に伝わる伝承や故事から、彼独特のファンタジーとして、小説 件を書く。幻想文学に納められた、特集には、くだん、ミノタウルス、牛妖伝説の特集号があって、各界から寄稿された牛妖伝説についての解説が見られる。



 よく考えると、人間と牛との関わり合いは古く、鬼という怪物もまた、牛の変形であるような意味合いを秘めている。

「 件は生まれて三日にして死し、その間に人間の言葉で、未来の凶福を予言するものだと云う話を聞いてゐる。西の空に黄色い月がぼんやり懸かって、ふくれてゐる。昨夜の通りの景色だ。私はその月を眺めて、途方に暮れてゐた。 」



 気がつくと、”件”そのものになってしまったような自分を通して、そのまわりの景色と予言を期待する民衆との間で繰り広げられている情景をオーバーラップさせながら描いた作品が、この百閒の”件”というもの。百閒の件は、予言しないところで、ふいに終わってしまう。不可思議ななかにも、滑稽で、また、やるせないような情感だけが、あとに残されていく。



中国には、神託や予言をする妖怪に、”白澤”なるものもあり、古く、そのルーツを探れば、人間の尽きることないイマジネーションの産物、怖れや畏敬などに行き着くのだろう。
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