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麻布は坂のまち

麻布は坂のまち

 △ 《 飯倉交差点あたり、外苑東通りから、麻布台、東京タワーを臨むビューポイント 》 : 



 このあたりから、正面にデカデカと、どこまでも付いて回る大きな東京タワーが圧巻、大好きである。とうきょうらしい眺めとしては最高だ。特に、タワーが雨にけぶって、最上部が雲のように隠れてるときの感じが良い。夜のほうが、もっと雰囲気が出る。



 とうきょうで、間違いなく、一番すきな町のひとつである麻布と言う町。一口に、麻布と言えども、そういう町名はなく、東麻布、南麻布、麻布台だとか、事細かに分かれた町名がくっ付いて来る。



 なにもかも麻布、全部、ひっくるめて麻布っていいたいところだが、その風情を体感できるポイントは、各所にあって、書き出すにはタイヘンだ。



 麻布を表わすパーツで、なにが、一番、目立ってるかといえば、それは、第一に、東京タワーが真近に見えること、そして、坂がやたらめったら多いことではなかろうか?

 《 もっとも急峻な、イタチ坂もしくは植木坂 》 :



 そんな、麻布界隈、数ある坂の中で、好きなポイントと言えば、この急峻な麻布永坂町/狸穴町の谷あいへと下る坂。真っ逆さまに、谷底へと下っていくような景観がなんともスリリング。この坂は、坂名を表わす標識が立てられていない。諸説あるようで、鼬坂(いたち)とも、また、この坂下から右手へと上がる=植木坂とも、混同されて、よくは分からない。自分は、植木坂が正しいように思える、高速道路に沿った永坂に並行して下る、細い坂道、情調があってよい。



 この赤い手すりが切れたあたり、右手に、かの島崎藤村が、晩年、暮らしていた旧居跡を示す石碑がある。谷戸には、季節柄、真っ白に咲き誇った水仙の群生と芳しい匂いを運んだ紅梅の樹があった。折りしも、黒い猫が、お昼寝に訪れていた。



 島崎藤村 : 大東京繁昌記(山手篇)より 「 鼠坂は、私たちの家の前あたりから東に森元町の方へ谷を降りて行こうとするところにある細い坂だ。植木坂と鼠坂とは狸穴坂に並行した一つの坂の連続と見ていい。ただ、狸穴坂の方は、なだらかに長く延びて行っている傾斜の地勢にあるに、ひきかえ、こちらは二段になった坂であるだけ、勾配も急で、雨でも降ると道の砂利を流す。こんな鼠坂ではあるが、春先の道に椿の花の落ちているような風情がないでもない。この界隈で、真先に春が来ることを告げ顔なのも、毎年そこの路傍に蕾を支度する椿の枝である。 」 島崎藤村語るところの植木坂、いわゆるイタチ坂を下ると、少し、開けた場所に出るが、再び、現在の表示で植木坂と思しき、もう一本、右手に上がって坂上に引き戻される。



 これと並走するように、東側に下る道を、狸穴坂と称している。このあたり、江戸時代は、電燈も無く、それは暗い竹やぶであったのだろう。その急峻な崖地を称して、魔魅(まみ)も棲むべき土地と謳われた。崖には、穴倉のような箇所もあり、タヌキが棲んでいたとしてもおかしくはないのだろう。



 それゆえ、このあたりは、麻布狸穴町(まみあな)という床しい名前を残されている。新撰東京名所図会には、こんな記述も見られる。 :



 「 狸穴町三番地の角を飯倉片町の東角を経て南に折れ、直に下る坂路をいふ。稍下れば道恰も馬ぼうを成して其右は凹谷なり。人家亦谷底に在りて、琴声幽かに脚下に起り、眺望亦清雅にして殆んど画中の観あり。 」  

  植木坂に通じて、クランク状に、再び、さらに東麻布方面の古川へとつながる谷底を下っていく最後の坂道が、鼠坂(ねずみ)である。こちらも、狭くて急な坂道である。坂道の果てには、平穏な麻布公園が待ち構え、麻布でも、庶民的な下町へと開けていく。外務省や大使館が多い山の手と、川沿いの商家との景観の違いを坂道がジョイントしてフォーカスしてくれる。なお、六本木アマンドがある交差点を基点として、六本木の高地から、南側方面、崖下へと下る坂道には、西側から、ご存知、芋洗坂、鳥居坂、永坂、そしてイタチ坂(植木坂)、狸穴坂、土器坂となる。



 狸穴町あたりは、その昔、藪が深く、文字通り、タヌキが出てもおかしくは無いような、寂しくうらびれた場所であったろうと思う。とくに、暗がりなら、黒いタヌキや狢などが出てこようものなら、ビックリしたに違いない。かつては、崖地から湧水もあったようなので、湿潤としたところで、魔魅(まみ)という名に相応しく、凹地(窪地)ゆえに、いまでも陰のエネルギーが貯まり易い場処のように感じた。なお、外苑東通りから麻布台方面、反対側へと下る窪地は、我善坊谷という。
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