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西蒲田 黒湯銭湯 女塚浴場 11月末で閉店

東京残照 銭湯記 第11話



西蒲田 女塚浴場(おなづか) 

蒲田の町から、またひとつ、煙突が消えて行く!

黒湯銭湯が、11月末で、閉店
  蒲田駅西口から呑川(のみかわ)沿いに、ゆっくり歩いて20分強。非常に不便な地の利にある黒湯銭湯 女塚浴場(おなづか)が、この11月末日を持って廃湯となる旨が記されていた。銭湯の閉店には、なんども立ち会っているのだが、やはり悲しいものである。蒲田の町から、またひとつ煙突が消えていく。



 JR大森駅、山王口から、坂を下って池上方面へと抜ける路線バスに乗り、池上通り沿いの大森税務署前か堤方橋停留所で下車して、呑川沿いに5分ほど歩くと、女塚浴場の大きな煙突が見えてくる。いつもは、そんな経路でアクセスしているが、いずれにせよ、区外者には、とかく行き難い奥地には違いない。近隣には、池上温泉もある。そんなわけで、不便なことも手伝ってか、とうとう11月末で店を閉めることになったそうだ。



 この銭湯を引き継いで40年らしいので、前の持ち主から数えれば優に50年来の歴史が閉じられる事になろうか、カランも30以上あって、ゆったりと広々として、清潔感あり、気持ちが良く浸かれる銭湯だったのに、まことに残念、寂しい限りだ。 男湯の脱衣場から、立派な岩組みの庭も残されている、今となって往時を偲ぶ影も無いが、かつては池に満面と水も張られていたことであろう。



 ゆったり大きな外観、どっしりとして寺社のように天井が高く、夕日が差し込む浴室は、毎日通ってくる常連のご隠居たちの笑い声が絶えない、そんな雰囲気の銭湯であった。黒湯の浴槽は、タイルの色合いが黒いことに相俟って、かなり透明度的にも黒くて、濃さを実感させたお湯である。加熱が強く、薄めず、黙ってそのままにしていると、かなり熱くなってしまいがちな浴槽に、じっくりと浸かると、急に寒くなってきた年の暮れなど、非常にぽかぽかと身体の芯まで温まるものだった。 温泉 : ☆☆☆ 厳密に言うと、ここは温泉成分の分析が、きちっと認可の上、為されていたわけではない。井戸水を沸かして使っていたら黒湯だった、と謂うに相応しい、大田区内にはよくある銭湯だ。匂いも、やや墨っぽくも感じられるが、ほぼ無臭。肌触りは、キシキシとする。設定温度もさることながら、とにかく温まり方は尋常ではない。長く浸かれば、のぼせは必至。 この浴槽の感じが、ちょうど金沢八景にある赤井温泉に似通っていたことを憶えているのだが、当の赤井温泉、こないだ訪れた際には、すっかり色的に薄い感じの温泉に変わっていた。やはり女塚浴場の黒湯は、なかなかに濃い。見かけは、墨を摺ったのか、溜まり醤油のようでさえある。この特濃感から遠ざかってしまうのは、やはり寂しい想いがこみ上げる。帰り際、再び、振り返って、遠ざかる女塚浴場の景色に、思わず、さようなら!と発しながら、夕景にぼんやりと浮かび上がる煙突を眺めた。
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