湯島 妻恋坂 けい吾
銀座線・末広町駅から至近、昌平橋通り沿いで妻恋坂と三組坂下との中間ぐらい、2016年オープンした、割烹 妻恋坂 けい吾。プロデュースは暗闇坂・宮下などで著名な飲食コンサル宮下大輔さん。こちらの大将は、西麻布の日本料理店などで修業したのち、蕎麦打ちを遊蕎庵や神田・松翁でみっちりと学び、独立営業された。奥様とふたりで営む、カウンターとテーブル席2卓、こじんまりとして素敵な空間です。地下室は、蕎麦打ち部屋となっており、車海老や穴子の生け簀があります。
* 文京区湯島3-10-10 日・祝定休
12:00~(月~金・平日のみランチ営業)
18:00~21:00

天ざる蕎麦 : 2800円(税別)
☆☆☆☆★
お昼に限っては、ざる蕎麦(1200円)、かけ蕎麦(1300円)単品でも注文可能ですが、純然たる蕎麦屋稼業ではありませんから、これに揚げ立ての天ぷらを追加注文したり(=海老、穴子(1000円)、季節の野菜各種(600円~)、あるいは、天ざる蕎麦、温かい蕎麦の天麩羅蕎麦(2900円)を所望する方多し。また、事前予約の上、5500円の昼コースで、お造りやデザートを加えたものも提供可能。

ランチ、天ざる蕎麦は、揚げたての天麩羅(活き車海老、野菜3点、活き穴子)に、手打ちのざる蕎麦です。車海老も、穴子も生け簀から採ってきて、その場で捌いて、揚げてくれます。なんて贅沢なんでしょう!最上クラスの揚げっぷり、旨い天麩羅食べて、手打ち蕎麦で〆る感じです。
長崎産活き車海老、最初は、カラッと揚がった、くも足。エビ本体は、尻尾の剣先は切り落とさず、そのまま揚がって、スタイルはかなり美的。ハードな揚げっぷり。甘味がグッと前に出たタイプで美味しい。ちなみに、揚げ油は、綿実油と太白胡麻油ブレンドだそうです。この辺の揚げの技術は松翁仕込みと思われます。天ツユ、ヒマラヤ塩。

とうもろこし、間にハモのすり身を仕込んである、これも甘さが光る一品。
そして、熊本の伝統野菜である熊本赤ナス(ヒゴムラサキ)、これはジューシー。素材本体の持ち味を活かした揚げっぷりで、衣は薄目。懐石料理屋で出そうな、こういう揚げ方は、個人的には、かなり好きなタイプ。

ムラサキアスパラガス : 旬の野菜、加熱することで、色合いは穂先のみに紫色が残るだけで、グリーンへと戻る。揚げきって、ソテーされたごとくに上手にウマさを閉じ込めています。歯ごたえと柔らかさの双方が楽しめます。

十割蕎麦 : 見かけ端麗な姿、かなり細目に切りそろえられ、蕎麦の長さも長く江戸前。ツルツルとしてスベやかな食感は、戸隠のそれを彷彿。茨城、常陸秋蕎麦粉使用。ワサビは本わさび。個人的には好みのタイプではないため、蕎麦打ちのグレードは、ふつうと思う。蕎の字よりは上等。

梅雨穴子 : いよいよ脂が乗ってき始めた江戸前産穴子です!かなり長時間、油の中に居ました。サクッとほわッとした揚がり方、穴子食べるだけでも価値はあります。

ハモの天麩羅 : 追加注文(1000円)
☆☆☆☆
この時節、稚鮎も、穴子も旨いが、鱧もこれからの季節には抜群の説得力。可愛らしく全面を飾るのは、フレンチではお馴染みの素材、アスペルジュ・ソバージュ。鱧も、目の前で骨切りするところも観れました。これは穴子よりもむしろ、ウマミ充分な揚げ口。けい吾さんの天麩羅は絶品です!

蕎麦湯 : 白濁してとろ~んとしたポタージュタイプです。
* 天麩羅そば :
CP=100 味=90
蕎麦のデキバエ含め、天ぷらもよく、人気だけが過剰な蕎の字よりは好感が持てる。ただし、天ぷらやでも蕎麦屋でもなく小料理屋よりは腕がある和食で真価の重きを置くとなると、、どうだろう?という気もする。松翁つながりなら、浜町かねこ、壱岐坂・森のさんとの使い分けが好いかもしれない。なお、けい吾さんでも、夜コースでは蕎麦のほか、松翁伝統の冷麦が味わえます。
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