遠羅天釜(おらでがま) 白隠著 ”白隠”というと、思弁的な道元禅師に比べると、ややもすれば体育会系、単にアグレッシブで個性的な禅僧と看做されて、勢い、漢文調を逸らして眺め、書画や画讃にばかり目が行きがちであるが、優れた著作を実は残している。一番、人口に膾炙し比較的に読まれてるのが、”夜船閑話(やせんかんな)”であろうが、”遠羅天釜(おらでがま)”も、主著として是非、目を通してもらいたいものだ。
上中下巻、続巻あり、長きに渉って、やや冗長であって読み難い。ことに続集が内容的に喝破されており凝集しているように思える。殿様である鍋島公が病に伏せってか、よほど気弱になっており、白隠に相談する。そのアドバイスとして書かれた手紙形式なのが、こちらの書物。白隠が達人級であったのは、座禅のみならず、念仏、道教などに通じており、生半可な気持ちで志すのなら、なにをやってもダメというような論法で、たとえ思弁に疎くとも、無心に打ち込むと光明が注ぐと言うような論調である。実践と開悟を上手に絡めて、手ほどきしてくれているところは、アクティブでもあり、バランスが取れていて痛快だ。
自分が、ちょうど遠羅天釜を読みかけてる時機と、大震災の訪れが重なっていた。白隠に、こう問いかけられているように思える。人間のかたちをした魂が、人間として仏になるには、その修行を積んだとしても何百年も必要だ、、6分間、わたしに身を預けてみないか、いや、明け渡してみなさいと、そうすれば、いちはやく、涅槃の境地に達してやることが叶うのだが、、、、そう言い放って去って行った。大変革の一瞬、地震や津波は、各人の眠った魂を奮い立たせる起爆剤、そういうことであったかもしれない。 続きを読む
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小山湯がある三田小山町の路地は健在だった。
地下鉄が通ってから、このあたりの賑やかさも徐々に変化してきた、外人やテレビタレントなどが闊歩する町、麻布十番。麻布十番という異国じみた街の近隣でありながら、そこから、川筋一本隔てた先に、違う日常性が息づいていた。
一歩足を踏み入れた先は、ある意味、別天地である。古川の橋を渡ると、そこは、下町風情、人情寄せ合うように間口の狭い日本家屋の軒先が建て込んだ路地裏を迷路のように張り巡らす。
古川の上を通る高速道路の高架と新しく林立した高層ビル群の谷間に埋もれるかのようにして、旧三田小山地区の街並みが、いまも、静かに息づいている。白金(しろかね)が、シロガネ―ゼと呼ばれる浮ついた幻影を生みだし、また低地に、しろかね本来の下町があるように、港区三田にも、お屋敷町とそうでない場処、ふたつがある。
2007年に廃業してしまった、小山湯さん。自分は、営業しているときに利用させてもらった経験があるのだが、風呂屋の建物としては残され、いまも住居として生活されており、しかし、風呂屋稼業は閉店している。
こちらの建物は、竣工が大正10年(1921年)というから、関東大震災、そして空襲にも焼け残って、さらには先日の平成大震災にも耐えて、今ここに、その雄姿を見せている事となる。建築様式も、宮造りではなく、出桁造りという古い様式で、現存する都内の銭湯では、いちばん古いものと言えそう。 続きを読む
中華 味一でタンメン@不動前・下目黒
2006年オープン
タンメンが旨い店を、継続的に探し続けている。 :
位置関係で言うと、目黒雅叙園と山手通りの間ぐらいなんだが、場所的には、不動前駅下車して、かむろ坂渡って、オオゼキの脇を抜けて、大黒屋の向こう、山手通りを不動前交差点渡った角地にあるのが、”中華 味一”さん。場所柄、昼時は、ガテン系なんかが食べにくる街道筋の中華食堂。
* 目黒区下目黒2-24-7 日曜休
11:30~15:00(ランチメニューあり)
17:30~22:00
タンメン : 680円(大盛+100円)
☆☆☆ (なかなか美味しい)
外見からすると、ごくふつうのラーメン屋に思えるが、気合の入りようは、チャーハンとタンメン主体の専門店に近い。スタッフは体育系、明るくて威勢の良い雰囲気の中華食堂。なかでも、タンメンは、こちらのおススメらしい。しかし、食べてみると、およそタンメンらしからぬ濃厚な味わい。
鶏の濃厚なエキス満載で混濁したスープは、どちらかといえば、ちゃんぽんを思わせる、塩味きつめ、無化調っぽい、ハッキリしてクドいが旨い。こちらの野菜は、なんだか、とても少なめ。ふつうは、多めの野菜で、胡麻かされて水っぽさが感じられるのだが、こちらは、その点で、スープ、ほんのり胡麻油風味の野菜炒め、硬めに茹で上げられた中細麺、まさに三位一体となったパフォーマンスが決まってる。
麺が、まるで味噌ラーメンを思わせる、黄色くて縮れた中細麺で、これが、とても美味い。野菜は、非常に少なめ、麺も大盛にしないと足りないぐらい少なめ。これだけ攻撃的なタンメンも個性的で珍しいが、なかなかイケてる味わい。チャーハン等も美味そうだったので、また寄ってみたい。 続きを読む
ケーキショップ クローバーリーフ@長谷・由比ヶ浜
2011年1月オープンした新店
このところの鎌倉では、新陳代謝が早く、新しい風が吹いてます。半年ぐらいのタームで、いろんな場所に、思いがけず新規オープンした店があったりして、驚かされます。それも、鎌倉の他のお店や東京で訪れたことがある店ともつながりがあって、それを紐解くのも楽しい。
”ケーキショップ クローバーリーフ”さんがあるのは、江ノ電・由比ヶ浜駅から、由比ヶ浜通りへと抜ける小道の途中、”MANNA”さんのお隣。店主の方は、”自由が丘 Depot39(デポー39)”のカフェに居た方。
店頭で、濃厚なブラウニーやスコーン、焼き菓子、トライフル、ケーキをテイクアウトできるほか、ちょっとしたイートイン・スペースもあるので、貴重です。カフェとしては、スペースとしては狭いですが、雰囲気は、◎です。
* 鎌倉市長谷2-4-6 月曜&第1・3日曜他不定休
11:00~18:00 続きを読む
ラーメン髭@平和島・環七
ライトで寡黙な二郎スタイル、2006年オープン
京急本線・平和島駅から、徒歩数分、第一京浜渡り、環七通りに出て、旧東海道(ミハラ通り)を過ぎてすぐ、右手に黄色い看板と行列が見えてくるので、それが、"ラーメン髭"。外観、内観ともに、まったく何ら手入れされていない(かのような)、見るからに、やる気のなさそうな雰囲気プンプン、行列さえなかったのなら、見過ごしてしまいそうな、そんな店。
店内は狭く、カウンター8席ぐらい。先に食券を券売機で購入して、食べ終わって店内から出てきた時点で入店入れ替わりとなる。髭オヤジが、黙々とひとりで調理している。終始無言、愛想は、まったく無い。麺茹でなども、勘に頼って、雑なように見えるが、調理後の味的バランスはセンス良い。
* 大田区大森本町2-28-5 火曜休&第3水休
11:30~14:30(行列が多い場合、午後1時頃に終了)
17:00~麺切れで終了。
(土日祝は通し営業だが早めに終了)
ラーメン : 700円(並)
☆☆☆ (自家製麺が旨いよ!)
見ての通りな、二郎系インスパイア、どちらかといえば、ジャンク寄りではなく、マシな部類、J正統派で、なかなか美味しい。野菜が少なめ(とくにモヤシに比べてキャベツが僅少)で、相対的に麺の量は並盛でもかなり多め。とくに、麺が沖縄そばのような食感で、程良い硬さ、とても美味しい。
スープは、カネシの香りが立ったシンプルなもの、脂分も適宜、甘さや塩分も少なめ。そのため、麺の多さが、途中から飽きてくる。野菜増しとか、チャーシューメン、麺大盛は、ヤバイ量なので、誰も頼んで無かった。麺量が多いので、一般人と年寄りが混ざった場合、ワシワシと食べ込んでも時間が掛ると思われ回転が悪い。
J系を普段食べ付けない(請け付けない)自分でも、美味しいと思わせるようなおススメ店、但し、早めに閉め易いらしいから、狙うなら早い時間に行く方が無難かも。
** スープ=△(個性なし) 麺=◎美味しい! チャーシュー=◎(うまし!)
野菜=少なめでインパクトなし。店主が口を開く、唯一運ばれる前に、ニンニク入れますかと聞かれる。野菜がこれ以上多いと、噛みごたえある麺に苦戦、自分も陥落してしまう麺の量だ。スープは、クセがなくフラットなので食べ進むと後半は飽きが早い。 続きを読む
中華そば 集来で、手打タンメン@芝大門
いろいろと廻った結論から言えば、”タンメン”っていう食べ物に関しては、どこで食べても、味に大してバラツキはない。それは、大概、化学調味料(味の素)をベースにして創り出された味であるからなのではないだろうか?つまりは中華では無く、日本人の創案として。だから野菜の旨みとか、鶏ガラスープとか、そんな大層な前提条件は、採算が合わないゆえ商売上で端っから歓迎されない。
都営浅草線・大門駅近くにある、”中華そば 集来”さんは、路麺店ではなく、あくまで通路のような路地裏に接してビル内に収まった地味なルックスの店ながら、家族経営の地道な営業で、もう4~50年になるであろう老舗の人気店。スタンス的に、タンメン専門店に近い。もちろん、ふつうの醤油ラーメン、ワンタンメン、五目そば、サンマーメンなどもある。
馴染みのない一見さんは少なく、場所柄、近隣の勤め人たちで、毎日昼時は大概行列が生じるが、基本、ラーメンスタンドなので、食べれば黙って出ていくのから、回転は速い。スタンドは狭く、テーブルも相席必須なので、落ち着いて食べるには、少し混雑した時間帯を外した方がよいかもしれません。
* 港区芝大門2-3-6 土日祝休
11:00~15:00
17:00~20:00
手打タンメン : 730円
☆☆ (☆は、2.5) 化調大爆発なタンメン。
こちらの特徴は、すべてのメニューで、わずか+30円の価格を足すだけで手打ち麺バージョンが選べます。手打ち麺は、喜多方ラーメンでよく見かける様な、多加水で、びろんびろんした平たい形状の縮れ麺。むかし、”渋谷・神泉の芳来”なんかで食べれた、ゆる~い、あの感じですね。
手打ち麺指定の場合、みなさん、麺硬めコールをしてますが、むしろノーマルであったほうが、この手打ち麺のゆるゆるして優しい感じが出て良い気もします。
しかし、スープは、舌が痺れるような、強烈な化調味であることを覚悟。あとあと仕事に支障が出そうなくらいにスープを呑み干せば、喉が渇きます。タンメンは、注文しても出来上がりが、かなり遅めです。よって時間が無いひとは、もっぱら早く出て来るメニューとかも提示されていて、なかなか丁寧です。醤油味のラーメンも人気みたいでした。 続きを読む