ペルーレストラン インティライミ
@川崎駅西口通り 1997年創業
* 2015麻布十番へ移転するも閉店。
2009年も、精力的に世界各国の料理を身近なところから攻めて、いろいろ食べ歩きました。そして、年末〆として、通算34ヵ国目となるであろう=ペルー料理レストラン インティライミさんへと伺いました。
ラゾーナ川崎が竣工して、大きく様変わりした川崎駅西口界隈。もうひとつの大きなビル=ミューザ川崎へと続くデッキを歩き、大宮町側へと降りていきます。これまでのマイナスイメージをすっかり払拭したと言っても過言ではないほどに、川崎駅だけが、新しく生まれ変わろうと、もがいています。
川崎駅東口も、垢抜けることなく、未だ、ヤバイ感じで溢れかえってますが、西口に拡がった大宮町地区には、かつての市営住宅、公団住宅、旧国鉄社宅などの荒廃した団地群、堀川町地区では凋落した東芝の大規模工場跡地などが混在して、ごちゃまぜとなり老朽化著しいイメージが付きまとったものを、川崎市が十把一絡げにして先導する形で、総合的に市街地整備開発を進めたのです。
おかげさまで、川崎駅西口は、ヨコハマを追い越しかねない、”イマドキのふつう”を装ってしまったわけですネ。まぁ、例によって、大手資本が牛耳った、面白みのない、近未来的なゴーストタウンを産み出してしまったようにも予想されます。
さて、そんな駅周辺の”大改造!!劇的ビフォーアフター”を経た、川崎西口は、ミューザ川崎のシンフォニーホールによって、”臨海工業地帯の川崎”と言う東向きの硬いイメージに、表向きだけでも、心地よい響きを西側の川崎に送り込もうと、誘致されたのだと思ってしまいます。
そんなわけで、刻一刻と時代が流れて変貌度合いが激しい駅前から、少しだけ離れた地点、”太陽の祭り”という意味合いの店名が掲げられた=インティライミさんは、川崎駅西口から、南武線尻手駅へと向かう西口大通り沿いに、店を構えています。徒歩、5分ぐらい。
* 川崎市幸区大宮町15 火曜休
11:30~13:30(平日ランチ)
~22:20
Cau cau (カウ カウ) :
ハチノス(豚の腸)とじゃがいもの煮込み
1000円(ライス付き) カウ カウ コンアロス
☆☆☆☆☆ すごく美味しい!!
久々に、”美味しいものを食べた!”って感じがする。ハーブの味わいとハチノス&じゃがいもの取り合わせは、ベストマッチ。単に、塩味で、スパイシーなシチューと説明されても、非常に複雑なスパイスの味わいが後を引く絶妙な旨さ。ミント、クミン、ターメリック、にんにく、たまねぎ、唐辛子、パクチーなどを炒めて煮込むのだそうだ。味付けは、塩とコショウのみ。無化調。塩、こしょうだけながら、味的なバランスが良くって、ほんとに美味しい!
メニューには、”アロス コン ポジョ”というピラフみたいがあり、こちらは、インドのチキン・ビリヤニに似たもののようであった。
前ほど大々的に、ランチは、行っていないみたいで、その日ごとに、1品ぐらいは、ペルー風カレーなどが、スープ付きで、700円ぐいらいで食べれるようだが、あくまで、グランドメニューから選んで、大勢で、いろいろと食べるのがイイかと思う。
オーナーである日系人のママさんが、とてもフレンドリーで、食後に、”チチャモラーダ”というブドウ色のジュースをサービスとして呑ませてくれた。なんでも、ペルー産の紫トウモロコシのジュースだそうだ。どっかで、飲んだ覚えがあるのだが、思いだせない。味は、赤ワインの気が抜けた感じ、濃縮のブドウ果汁をプーアール茶で薄めた味わい。悪くはない、とっても素朴な味わい。ポリフェノールが高く含有しているそうで、健康に良さそうだ。
この店、知らないと、入るのに勇気が要りそうだが、じっくり付き合えば、絶対に料理の腕は良いのではないかと思う。ラゾーナを抜けて、敢えて、此処まで辿り着くのは、億劫であるが、是非、ほかにも目白押しだった、各種ペルー料理を食べてみたいものだと思った。
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忘れられた日本人 宮本常一
2009年、ちょうど発表から50年になるロングセラー 『 忘れられた日本人 』 という岩波文庫に収録された著書を、最初に読んだのが、自分の宮本常一との、ある一過性の出逢いであったのだ。それから、宮本常一の世界、その隅々まで、徐々に、引き込まれていった。
それまで、、宮本常一のなまえさえ知らなかった。ある意味、こうして、この本を手に取って、読み進めたことが、”宮本常一”当人こそが、忘れられた日本人のひとりであり、その系譜につながるであろう日本人のたちの無垢な歴史が、生活があるのだというようなことを、、、少しづつ理解してきた(つもりである。)
そういうわけで、自分にとっても、また、宮本常一の名を知る、大半の人びとにとっても、忘れられた日本人という本書は、彼を身近に知る上からも、一番のベストセラーとなっている。そして、今現在も、岩波文庫によって、人口に膾炙して、何十万部も読まれていることとなる。
忘れられた日本人は、はじめ、1959年雑誌上にて発表された翌年、1960年、未来社から単行本化され発売される。その原本が、こちらの”皺が刻みこまれた老人の横顔”というカバー装丁になる本書である。まさか、宮本の代表作となり、大ベストセラーになるとは思いもよらない、簡素すぎる幕開けである。
2009年は、そんな代表作=忘れられた日本人が、発表されてから、50年の歳月を数える記念すべき年となった。奇しくも、こうして、自分の手元にも、初版本が手に入ったのである。
この著作、『 忘れられた日本人 』が、出版され、世に問われた年=1960年は、日米間に新安保条約が成立した年であることを忘れてはならない。従って、宮本が、図らずもがな、意味したのは、その時機をもって、敗戦・占領下のニッポンから離れ、高度経済成長への新たなる戦(いくさ)の道(あるいは茨の途)を突き進むであろうことを、暗に示唆しているように、自分には、思えてならない。
日米、新安保条約成立、このときを経て、これまでの勤勉であった農村や漁村の多くの典型的な日本人たちは、字義通り、忘れられた日本人、あるいは日本人であることを忘れた日本人となるのである。それ以後の身勝手な日本人の氾濫は、あたかも、ひとり、繁栄を勝ち得たような顔をして、のさばるのであり、それが幻想であることすら、未だに気付きはしまい。
忘れられた日本人にならないようにと自戒の念、自責の念、を込めて、日本人は、新たな歴史を獲得し、前進を試みなければいけない、あたかも、そのように宮本は言っているような気がしてならない。
* 自分は、人一倍、本を読んでいるのだが、元来、書物は読むよりも飾って眺めるものだという想いが、いっそう強い。何冊も、書庫に並べられて、本は活き活きとした別の顔を魅せる。初版本蒐集には、読んで理解することの重みのほか、読まずに飾られた楽しみが加わる。
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江戸蕎麦 ほそ川@両国
蕎麦のことは、もう、あまり、とやかく言いたくない。東京なら、”銀座の古拙”"白金の三合庵”、そして”両国のほそ川”、三つ巴=この三店に勝るものはない。そういう事は、誰にでも、もとから判り切ったことだ、辛くも、今年、この3つが、ミシュランで、ひとつ☆に揃った。当然といえば、当然である。
ただし、どうなんですかねぇ?と聞かれれば、そりゃ~美味しいに決まってる、でもネ、、、と続く。ほそ川は、正直言って、吉川にあった頃を含め、もとから、あまり評判がイイ店では無い。なにかと物議を醸す温床が多い。しかし、言われれば、蕎麦が美味しいことは、たしかで、なにより全てにおいて、バランスがよい。
では、何に気まづくさせる要因があるのだろうか?それは、かならず接客を通してであることも多い。だからと言って、なにも店側に落ち度があるばかりではなく、実のところ、客のほうを選ぶ店であるからだと自分は思う。客の思いのまま、店が成り立っていると思ったら間違いの場合も、得てして多いのだ。勘違いなお店もあれば、、客のほうが大半、勘違いの場合も多い。また、さらに突き詰めて言えば、店主の思いのまま、すべてが罷り通ってしまうようなお店を、ミシュランは好んで推すと言ったら聞こえがいいのかもしれない(笑)。
* 墨田区亀沢1-6-5 月・第2火休
11:45~15:00
17:00~21:00
さぁ、どうしよう、、このお店、書き記すまでもなく、、これで、終わってしまう。店内は、案の定、撮影禁止である。まぁ、それはいいとしても、蕎麦は、格別美味しいし、また、値段も高い、それまでだ。江戸東京博物館を、清澄通りを隔てた向こう側、北斎通りから、一本入った小路沿いにある。
両国という地の利を考えると、好きな人だけが通えばいいと思ってしまう。だから、あえておススメはしまい。どこか、よそゆき顔なお店なんだと言うかもしれない。しかし、馴染みの客は覚えていてくれるし、普段定位置である=天婦羅・揚げ鍋の前を離れて、ご主人が席まで、わざわざ挨拶に来てくれたりもする。別段、なに不足ない、小奇麗な店内、静けさと小粋さに溢れた、また、こざっぱりとして簡素な蕎麦屋とだけ印象を得るかもしれない。
この空間で、寛げるかどうか、、、、憩うのは、やはり相性と、そのひとの度量のなせる技であると自分は思う。これ以上は、文章で伝える自信がない。むしろ、何事も、やたら自信がある店主に、どう接すべきか、それが蕎麦の有名店との相性、そうなのかもしれない、いや、これに尽きるのではないか!
せいろ : 1050円 ☆☆☆☆ (文句なく美味しい!)
この日は、茨城産仕様。同日は、田舎そばは、用意でき無かった。しかし、せいろも、10割。口に含むと、ねっとりした食感で、甘く、硬めに水で〆られて、喉越しのよさも、申し分ない。さすがの1枚。ツユは、なおさら感服。すべてにおいて、程良さ加減が素晴らしい。東京で、間違いなく、格別においしい蕎麦屋のひとつであろう。しかし、あえて、個人的には、おススメはしない。
蕎麦屋稼業が、すべからく、こうあるべきと、思われては勘違いであるからだ。また、どう鍛錬しても、細川さんの技量を真似ることも不可能であるだろう。そもそも、ユニクロが粗悪品であることも気がつかず、買いに走っているような大衆が、”ほそ川”のよさを、だだ、ミシュランの星だけで、感知するには、未だ、程遠いと思われる。万事において、蕎麦は何たるものか、それが、ほそ川の佇まいである。何事があれども、マイペースを貫き通す、それが、ほそ川。蕎麦を知るには、まず、この店の流儀に馴れることだ。 続きを読む
多賀野(たかの)@荏原中延
1996年オープン
2009年、らーめん部門の〆(しめ)に、”有終の美”を飾るなら、やっぱり、”多賀野(たかの)”に行くと決めていた。有名店は、頭の片隅には、ちゃんとインプットされていても、なぜか、、、後回しになってしまうことも多い。なぜだろう?
並びを嫌うわけじゃないが、、、各店ごとに暗黙にしてルールが違うので、そういうことに合わせて、なおかつ食べようと言う気概が、薄れたのかもしれない。正直、自分のタイミングで、自分の好みに忠実に、好きなものを食べればいいのだから、なにも構える必要もないのだが、いきおい、身構えさせるのが、噂には聞こえる有名店の行列というものなのだろう。
自分が食べたいらーめんを食べ歩くのが本望であって、世間一般が騒いでいるものを追従するわけとは限らない。でも、多くのひとの賛同は、ある一定的な認知度合い、食べるに値する何かを惹き付けた結果なので、厳粛に受け止めなければならない。
さて、東急池上線、荏原中延駅前にある大人気店、多賀野さんである。店主は、店名からも察するように、調理場で陣頭指揮を執る=高野多賀子さんという女性である。荏原中延の駅、改札抜けると、店は、すぐ目の前に見えてくる。昼時、うんざりするような長い行列も、同時に視界に飛び込んできて、すぐに、そこが多賀野さんであることが分かる。
* 品川区中延2-15-10 火曜休
11:30~14:30(日曜午前のみ)
18:00~20:00(スープ無くなり次第仕舞い)
店内は、テーブル席1卓、あとは、カウンターのみ15席ぐらい。東京で、いま、曜日に関わらず、一定的、恒常的にもっとも行列するお店のひとつなので、油断すると待たされることとなる。実際、平日にも関わらず、開店時で、既に40人近くが並んでいた。わりと、のんびり目に作業しているので、回転は、意外と、ゆっくり。
中華蕎麦 : 680円(+100円で、煮玉子)
☆☆☆
ふつうに美味しい!でも、 しつこ過ぎて、どこか、バランスが悪い、イマドキの味わいながら優秀な中華そば。 はじめの喰らいつきから、旨みばかりが強過ぎて、味が立体的に奥行きをもって創り出されるまえに、そのままフラット(平板的・平均律)で終わってしまい、ピーク後の複雑な味の立ち上がりに欠け、奥行きが感じられない。ようは、旨みが勝りすぎて、かえってツマラナイ。
中華蕎麦で、果たして、ここまで、旨みを優先させる理由もないと思うのだが、まぁ、それは好みの次元だ。悪くはないが、行き止まり感が強い味わいが強いられる、それは逃げ場のない、完成しつくされた味わいであって、得てしてファストフードのそれと重なる。
ようは、食べて旨いのだが、それだけだと、”本来の旨み”がない、とも言えそうだ。肝心の旨みが、数種ぶつかって、引かない、弾けないで、そのまま重合して留まってしまう、つまりは、味がクド過ぎて、一本調子に成りがちだ。うまみの演出だけで、ストーリー性がなく、単調に終わってしまう。
無化調のよさなら、そのまま抜けるような風味や、後味に凭れかからない、しみじみとした味わいなどが出てくるはずなのだが、それが微塵も感じられない。複合的な要素の付け入る隙がないほど、完成系であることだけは、たしかなのだが、そうしたラーメンのさまざまな醍醐味としてのアウトラインよりも、むしろテーマが勝ってしまう。ようは、ことのほか自己主張の激しい一杯である。
とはいうものの、23区内では、もっとも、美味しい醤油ラーメンのひとつであることだけは、認めて確かである。加えて、自分好みの理想形をもった中華蕎麦であった。中華蕎麦には、硬めに茹で上げられた、中細麺、つけ麺には、太めを使っている。麺の量は多いほうだが、大盛にすると、かなりの分量となる。 続きを読む
天然温泉 ヌーランド さがみゆ@雑色商店街
京急雑色駅から、取り立ててなにもない雑色アーケード商店街を抜けて、雑色商店街の大通りを蒲田方向へと、しばらく歩き、熱帯魚と小鳥屋さんが見えたら、そこから左折すると、外観は、それなりに立派な作りな天然温泉 さがみゆ、nu land(ヌーランド)さんがあります。
見かけ上は、いかにも綺麗なビルに見えて、中身は、いわゆる、ヘルスセンター系、B級感漂う、区民の憩いの場処です。朝から営業してますので、けっこう平日でも、コンスタントに賑わってます。昼間っから、ガンガンにカラオケが鳴ってます。
* 大田区仲六郷2-7-5 火曜休
10:00~23:00 入浴のみ=450円
△ 黒湯の画像は、HPより転載してます。
黒湯浴槽 : ☆☆ (カルキバリバリ仕様)
内湯と屋外に設置されている半露天風呂に、黒湯が張られています。加熱、循環、加水あり、バリバリのカルキ臭がする温泉。加水された露天に比べ、内湯のほうが濃く鮮度はいいのですが、いかんせん、お客さんの入りも多くて、泉質は、鈍って(なまって)います。
源泉を上手に活用できていれば、かなり黒くて、濃厚に見えますし、侮れないくらいに温まるのですが、いかんせん、お湯の扱いが、そんざいで残念、これと言って推すものがなく、黒湯としては、効能薄め。
黒湯起因の匂いと強いカルキ臭とが相まって、かなり甘い、モルト臭になっています。内湯、外湯ともに、温度はぬるいのですが、おかみさんが巡回してくる際に、常連さんが、温度が低いよぉ~と声掛けして、41度ぐらいまで上がります。温度は、上がったほうが、黒湯の効き目は、俄然増します。
黒湯の力が、イマイチなので、あまりおススメはできませんが、温泉、飲む、唄う、食べるが揃ったトータル仕様で、このあたりでは、俄然人気施設みたいです。 続きを読む
芝浦残照 あれは、いつ頃だったのか、もう遠い記憶の影に打ち消されてしまった。港湾施設群に混ざって、インクスティック芝浦、タンゴ、ゴールド、そしてジュリアナ東京があった。憑かれたように賑やかだった街も、やがて、その勢いを潜めて、もとの静けさに、いったんは戻る。そして、ふたたび、胎動し始める。
△ JR架線が通っている場処は、ちょうど芝浜を境に、かつての波打ち際を意味している。早くから埋め立てがなされていたとはいえ、芝と芝浦は、陸地と海で、その様相を異なったものとする。ビルが立て込んでしまって、芝浜だとか、芝エビが獲れた海岸線を思い浮かべることは酷である。頭上を見上げれば、浜松町と羽田を結ぶ東京モノレールがある。ひょっとしたら、モノレールが、陸地と海とのなにやら曖昧な境界を、うやむやなまま、中空で示しているかのようだ。 続きを読む