そめや うなぎ店@市川市 相之川 今井橋際
そめや うなぎ店@市川市 相之川(相の川)
創業50余年、今井橋際にある
気立てのいいオヤジ夫婦の大衆蒲焼 名物店
千葉のレベルの高さを魅せる
アクセス : そう、ここの一番の名物は、うなぎより、なにより、濃いキャラクターの持ち主にして、とても人懐こくて陽気なオヤジさんだ。ある種、人気取りなのも、横浜橋の丼 豊野のオヤジさんと似通っている。一見するとコワモテだが、よく喋るし、なにしろ、おちゃらけて、気立てがいい。キップがいいって~のも、ここいらが、もとは漁師町だったからであろう。
ともに百戦練磨、豊野のオヤジが蝶野なら、そめやのオヤジは、差し詰め、今井橋詰、田舎のレバンナである。天ぷらでも、鰻でも、威勢が良くて活きのいいのが、好まれる、味が濃すぎるぐらいも、あながち無粋とは言えまい。
なにしろ、場所が、ちっと地元でないと、心細くて、不案内、不便極まりないところなのである。一応、バス路線は通っていて、バス停は相の川、下車して徒歩3分ほど。千葉県側からのアクセスは、浦安駅や南行徳駅からすぐだが、東京側からは、川を隔てて、江戸川3丁目と通じているんで、車で無いとかなり不便だし、ジミに瑞江からだと、今井橋を渡らねばならないので、これまた歩くには、けっこうイタイ。
もうひとつのアプローチである、JR本八幡駅南口(といっても駅から離れたバス停であるが)から、浦安行きのバス(しかも漫然と30分間隔)に乗って狭い道路をひた走り、おおむね20分強で着く。途中、江戸川べりの土手を走ったりして、車窓は見るものを楽しませるが、やがて、新中川と旧江戸川が合流する辺りの相之川、今井橋近辺へと到着します。
* 千葉県市川市相之川1-26-1 水曜定休
11:00~16:00ごろ(売り切れじまい)
鰻重(特) : 2300円
☆☆☆☆(個人的には満点でも可)
鰻専門店を伊達に謳ってるだけあって、メニューも、それのみ。持ち帰り販売も人気のようだ。鰻重は、目方のやや小さなバージョンが(上)で=1700円。重箱いっぱいに、こんがり目な蒲焼が詰め込まれた定番メニューが、この(特)。さらに、(特)を、大盛ご飯もろとも、2段重ね、というか、見た目は悪くとも、箱から溢れんばかりに、まさに、てんこ盛りにした、のが、サンドで=4200円の、都合3パターンが選べて食べれる。
肝吸いなど、洒落たものはなく、すべての鰻重に、あさり汁とキュウリのお新香がつく。肝焼きは、ほんの少ししか取れないから、開店と同時の客に、極わずか振舞われるだけだという、メニューには、無いと思っておいたほうが良い。
このお店、不便に見えて、近隣から、車で昼時に駆けつける客が非常に多い、人気店である。店内は、カウンター、テーブル席、基本的には、奥にある座敷スペースに誘い、案内されることが多い。オヤジさんは、店内をうろついているから、テーブル席で、たわいもない話のやりとりも面白いだろう。
うなぎ : 今日の鰻は、聞けば、愛知県三河産だという。個々の鰻自体は、値段の割りに、かなり小ぶりであるが、そめやさんならではの味わいを惹き出していて、お世辞にも旨い。ご飯を含めて、乗せられた鰻の枚数的に、ボリュームも満点。
鰻の蒸しが弱く、仕上がりは、弾力を残しつつ、プリプリッとした食感である。なんというか、炭火で焼かれ、もうもうとした煙のなか、燻された焼鳥のような風味があって、和歌山の備長炭のよさが十分に出たものとなっている。もっとも、地焼きに近い食感であろうかと思う。この種の焦げ風味は、よって通の好むところ。
自分もそうだが、歯の無いジジババが喜びそうな、水っぽくて、ただ軟いだけの鰻より、硬くて、しっかり弾力感のある、しかも、焦げたような炭風味が、なんとも良い~という人には、かなり、通受けする貴重な蒲焼であると思います。この戯れた感じを、大衆的と否定するひともいるかもしれません。自分は、バッチリ、ストライクど真ん中、オヤジさんのキャラクター、人柄全て含めて、好みです、◎。
鰻のタレは、甘めで、ねっとり、千葉らしい仕上がりながら、あまりコテコテに偏らず、適宜、しつこさは感じさせない。言い切って、素朴。ごはんの大盛も可能だが、もとから、やや多めに盛られている。ごはんも普通に美味しい。
あさり汁 : 鰻屋に来て、肝吸いじゃないの、なんかと場違いに不平を言う輩も居るだろうが、なんの気にしなくていい。木更津産の地物で揚った新鮮なアサリを豊富に使ってある。かなりアッサリめな、汁が実に良い。
お新香 : 糠漬けきゅうり2~3切れ、あらかじめ、たっぷりの醤油が掛かったタイプ。個人的には、大好きな大衆蒲焼店に相応しいアイテムで感服。オヤジさんの優しさで、お新香をお代わりで、2つサービスで付けてくれた。暑いだろうからと、すぐさま水も用意してくれて、なかなか気が利く、いい人だ。この店が、流行るのも、オヤジさんを初めとして、店の気さくな雰囲気と人情溢れる面々にあるのだと思う。B級というなかれ、実に美味しい鰻が食べれればいいじゃないか。その実、ちょっと、値段は高いかもしれないけど。
オヤジさんの意外?とも言える趣味は、ごらんのような力作、蛍光ペンで描くところの、横尾忠則ばりの極彩色でキッチュなヘタウマ・イラストである。鰻同様に、なかなか味わい深いものがある。見よう見まね、自己流だと、おおむね謙遜するには、あまりに見事な、観るものに何か訴えかけてくる、これらの作品は、店内に、それと分かるように、ずら~っと飾られて、目だっている。けっこうアピール好きなんですね、オヤジさん!
子供たちが好きそうなアンパンマンやら、そういった題材を、蛍光ペンで、いとも簡単に描き、ぬり絵よろしく、丁寧に、極彩色に埋めていく。手遊びとは言え、なかなかどうして、見事なものだ。オヤジさんは、お客さんを笑顔で、接客、さばきながら、日がな1日、鰻よろしく、のらりくらりと、お絵かきに熱中していた。それを、みつめるオバサン連とのチームワークは抜群、雰囲気が飾らない、このお店の、ライブな人気も頷けるような、活気がある、活きのいい、素敵な大衆蒲焼店である。
焼き場では、奥さんを初めとして、この道何十年の焼専門、年季の入ったオバサンたちが、任されて、じゃんじゃん煙と共に鰻を焼いている。親父さん、この道、50年らしいが、跡継ぎがいなくて、自分の代で終わっちまうのよ、そう、あっけらかんと話してくれた。実のところ寂しそうだったが、是非とも、まだまだ、切に頑張って欲しいものだ。遠くても、また来たい、そう思わせるお店である。
* 行徳橋から、相之川へと向かう道は、いかにも旧街道然としたもので、お寺や旧家が目立った。調べてみると、やはり江戸時代に、この行徳街道は、かつて塩の産地であった行徳から、旧江戸側の河岸を使って、江戸方面へと海運で開けていたようなのである。往時は、たいそう賑わったと思われる。その証拠として、笹屋うどん店跡という旧家が街道沿いに保存されていることに、バスの車窓から気が付いた。うどん屋が賑わっていた時代があった、それは河岸で塩を運搬する人夫たちの腹ごなしを支えていたであろうと想像できる。
それにしても、このところ、良い鰻屋ばかりに遭遇する、我ながら絶好調である。我が家には、お祀りした<うなぎの神様>がいらっしゃるからなのか、どうか与り知れぬが、どんな鰻とて、おいしく戴いているからかなぁ~と思う。感謝、感謝。
創業50余年、今井橋際にある
気立てのいいオヤジ夫婦の大衆蒲焼 名物店
千葉のレベルの高さを魅せる

ともに百戦練磨、豊野のオヤジが蝶野なら、そめやのオヤジは、差し詰め、今井橋詰、田舎のレバンナである。天ぷらでも、鰻でも、威勢が良くて活きのいいのが、好まれる、味が濃すぎるぐらいも、あながち無粋とは言えまい。
なにしろ、場所が、ちっと地元でないと、心細くて、不案内、不便極まりないところなのである。一応、バス路線は通っていて、バス停は相の川、下車して徒歩3分ほど。千葉県側からのアクセスは、浦安駅や南行徳駅からすぐだが、東京側からは、川を隔てて、江戸川3丁目と通じているんで、車で無いとかなり不便だし、ジミに瑞江からだと、今井橋を渡らねばならないので、これまた歩くには、けっこうイタイ。
もうひとつのアプローチである、JR本八幡駅南口(といっても駅から離れたバス停であるが)から、浦安行きのバス(しかも漫然と30分間隔)に乗って狭い道路をひた走り、おおむね20分強で着く。途中、江戸川べりの土手を走ったりして、車窓は見るものを楽しませるが、やがて、新中川と旧江戸川が合流する辺りの相之川、今井橋近辺へと到着します。
* 千葉県市川市相之川1-26-1 水曜定休
11:00~16:00ごろ(売り切れじまい)

☆☆☆☆(個人的には満点でも可)
鰻専門店を伊達に謳ってるだけあって、メニューも、それのみ。持ち帰り販売も人気のようだ。鰻重は、目方のやや小さなバージョンが(上)で=1700円。重箱いっぱいに、こんがり目な蒲焼が詰め込まれた定番メニューが、この(特)。さらに、(特)を、大盛ご飯もろとも、2段重ね、というか、見た目は悪くとも、箱から溢れんばかりに、まさに、てんこ盛りにした、のが、サンドで=4200円の、都合3パターンが選べて食べれる。
肝吸いなど、洒落たものはなく、すべての鰻重に、あさり汁とキュウリのお新香がつく。肝焼きは、ほんの少ししか取れないから、開店と同時の客に、極わずか振舞われるだけだという、メニューには、無いと思っておいたほうが良い。
このお店、不便に見えて、近隣から、車で昼時に駆けつける客が非常に多い、人気店である。店内は、カウンター、テーブル席、基本的には、奥にある座敷スペースに誘い、案内されることが多い。オヤジさんは、店内をうろついているから、テーブル席で、たわいもない話のやりとりも面白いだろう。

鰻の蒸しが弱く、仕上がりは、弾力を残しつつ、プリプリッとした食感である。なんというか、炭火で焼かれ、もうもうとした煙のなか、燻された焼鳥のような風味があって、和歌山の備長炭のよさが十分に出たものとなっている。もっとも、地焼きに近い食感であろうかと思う。この種の焦げ風味は、よって通の好むところ。
自分もそうだが、歯の無いジジババが喜びそうな、水っぽくて、ただ軟いだけの鰻より、硬くて、しっかり弾力感のある、しかも、焦げたような炭風味が、なんとも良い~という人には、かなり、通受けする貴重な蒲焼であると思います。この戯れた感じを、大衆的と否定するひともいるかもしれません。自分は、バッチリ、ストライクど真ん中、オヤジさんのキャラクター、人柄全て含めて、好みです、◎。
鰻のタレは、甘めで、ねっとり、千葉らしい仕上がりながら、あまりコテコテに偏らず、適宜、しつこさは感じさせない。言い切って、素朴。ごはんの大盛も可能だが、もとから、やや多めに盛られている。ごはんも普通に美味しい。
あさり汁 : 鰻屋に来て、肝吸いじゃないの、なんかと場違いに不平を言う輩も居るだろうが、なんの気にしなくていい。木更津産の地物で揚った新鮮なアサリを豊富に使ってある。かなりアッサリめな、汁が実に良い。
お新香 : 糠漬けきゅうり2~3切れ、あらかじめ、たっぷりの醤油が掛かったタイプ。個人的には、大好きな大衆蒲焼店に相応しいアイテムで感服。オヤジさんの優しさで、お新香をお代わりで、2つサービスで付けてくれた。暑いだろうからと、すぐさま水も用意してくれて、なかなか気が利く、いい人だ。この店が、流行るのも、オヤジさんを初めとして、店の気さくな雰囲気と人情溢れる面々にあるのだと思う。B級というなかれ、実に美味しい鰻が食べれればいいじゃないか。その実、ちょっと、値段は高いかもしれないけど。

子供たちが好きそうなアンパンマンやら、そういった題材を、蛍光ペンで、いとも簡単に描き、ぬり絵よろしく、丁寧に、極彩色に埋めていく。手遊びとは言え、なかなかどうして、見事なものだ。オヤジさんは、お客さんを笑顔で、接客、さばきながら、日がな1日、鰻よろしく、のらりくらりと、お絵かきに熱中していた。それを、みつめるオバサン連とのチームワークは抜群、雰囲気が飾らない、このお店の、ライブな人気も頷けるような、活気がある、活きのいい、素敵な大衆蒲焼店である。
焼き場では、奥さんを初めとして、この道何十年の焼専門、年季の入ったオバサンたちが、任されて、じゃんじゃん煙と共に鰻を焼いている。親父さん、この道、50年らしいが、跡継ぎがいなくて、自分の代で終わっちまうのよ、そう、あっけらかんと話してくれた。実のところ寂しそうだったが、是非とも、まだまだ、切に頑張って欲しいものだ。遠くても、また来たい、そう思わせるお店である。

それにしても、このところ、良い鰻屋ばかりに遭遇する、我ながら絶好調である。我が家には、お祀りした<うなぎの神様>がいらっしゃるからなのか、どうか与り知れぬが、どんな鰻とて、おいしく戴いているからかなぁ~と思う。感謝、感謝。
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