フィンガーランプって、どうなんだろう? 高速フレーズがいとも簡単に弾ける様に思えるが、その功罪はある。 いきなり、マニアックな話題です。ベースって、弾く際に、親指をどこに固定するか、そのポジション取りに悩まされます。そこで、指を置く場所を確保できると、都合がいい、それが謂わば、FINGER RUMPと呼ばれる秘密兵器です。 原理は、至極簡単、ピックアップの間ぐらいに、かまぼこ状の踏み台みたいなものをボディーに装着する、それだけです。このことにより、弦の下にぶつかりが出来るため、必要以上に指がもぐりこまなくなり、そのために運指が格段にスムースになってしまう。まぁ、好き嫌いは、その人次第なんですけれども、反則行為ととられても可笑しくない邪道なものと見る向きもあるようなんですね。 ランプの存在に気が付いたのは、ゲイリー・ウィルスの運指が速かった点ですね。マーク・グレイ、アドリアン・フェロー、マシュー・ギャリソン、リチャード・ボナ、ドミニク・ピアッツアなど、バカテクと呼ばれるベーシストたちは、必ずといっていいほどランプ着用ですね、そして、一見すると超早弾きに聞こえがちなパッセージも難なく弾きこなせる、つまり、ランプの効能とさえ言えそうです。 ラリー・グラハムが、弦の一番テンションが高いテール付近もベコベコと親指でめくりだすようにサムアップしていたのに、マーカス・ミラーが、いとも軽く、音を出しているのを見るにつけ、ピックアップガードやプリアンプ内蔵は反則行為のように当時は映りましたね。 その点、オールドクラシックなジャコ・パストリアスの右手のポジション取りは完璧でした。リアとフロント・ピックアップによって音質、音色が変化するさまをみると、あのコントロールはマネできそうもありません。だから、いまとなっては、楽に楽な方向へと流れて、ランプの存在が注目されてきたのでしょう。 もちろんベースが4弦でなく、6弦~8弦が普通の時代になってしまった21世紀、2フィンガーでさえなく3本~マルチフィンガー対応の21世紀に相応しい道具がランプで、ジャコが活躍した80年代とは大きな開きがあります。 弦高が高くてもランプがあれば弾くのは楽になります、ただしランプに頼るようになると、それに対応した手癖が幅を利かすようになり、結果、音が細かく、細くなりがちです。野太くて、ファットなボトムラインを支えるに相応しいベースの響きが、か細い、ちまちまとしたプチプチの音に成り代わってしまいます。 聞きなれてしまうと、それも個性なのですが、ぶっとい音でしっかり一音一音、ミュートされてピンキングされた音色とすれ違ってしまうことはある意味、寂しいことかとも思うのです。 △ かなり大きなスペースを占めるゲイリー・ウィルスのランプ、黒いピックアップと黒いフィンガーボードとの間にあって、指が置かれている、このボディーと同素材の部分がランプである。言ってみれば、車道と歩道の間、段差の不自由を取り除いてくれる小さなマジックである。 続きを読む
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アリゾナタイガーアイ(クリソタイル/サーペンティン) 宝飾界のトレーディングネームでは、アリゾナタイガーアイの名称でよばれるこの石は、実は、まったくタイガーアイとか、ピーターサイトとは鉱物的に無縁の種類に属している。 手に握った感触からも分かるように、蛇紋岩(サーペンティン)の仲間である。その母岩に、クリソタイルと呼ばれる繊維状の鉱物が層を成して含有しており、その断面を研磨させると、鮮やかなシルキータッチのギラツキに見えてとても綺麗である。 この光沢は、つまるところクリソタイルによってもたらされたシャトヤンシーである。 * 近年になって、アリゾナでは、上記の産地とは別に、クロシドライトの繊維質が入ったタイガーアイも発見されている。 一方、ピーターサイトやタイガーアイと呼ばれる石は、ベースにクロシドライトという、やはり繊維質の鉱物の存在があり、こちらが、謂わばシリカ(珪素成分)コーティングされたものである。厳密に言うと、産地から二種類の組成が確認されており、ナミビアから1970年代より産するものがクロシドライトが変成を遂げたものとされ、一方、もう1タイプでは、1950年代に中国の河南省において初めて発見された赤いピーターサイトで、こちらは、クロシドライトとクリソタイルが混在している珍しいタイプとなり、90年代に宝飾市場にブームをもたらしております。 中国産のピーターサイトは、ナミビア産と比べると、かなり赤みを帯び、あるいは金色にも見受けられるのですが、ナミビア産が形容上で発展途上と表現するなら、中国産のは、かなりピーターサイトとしての最終形としての組成を持っているそうです。ナミビア産は、その点、石の段階的な変化が浅く、見た目も含めてその幅が大きいということですね。 ついでに、似たような名称の石類を解説しますと、カリフォルニア・タイガーアイというもの、これは、トレモライトの細かな繊維質が入ったお陰でやはり絹状の光沢を見せる石で、含有しているマグネシウムのため、グリーンぽい色合いに輝きます。 マラマンバ・タイガーアイは、前にも紹介しているのですが、西オーストラリアのピルバラ地方の一部の地域だけに産する、極めて珍しいタイプのタイガーアイです。2つの鉱山からしか産出していませんし、いまは、その2つとも閉山しています。 従って、現時点で、市場にて廉価で売られているマラマンバには、きわめて名乗るだけで偽物が多く、ブロックマン・タイーガーアイと称され、別物のオーストラリアン・タイガーアイなのでご注意ください。その見た目の鮮やかさ、つまり、赤、緑、金、シルバー、茶色など、他のタイガーアイには無い色合いに充ちていて、とても宝飾的価値が高いものとなって愛好者(自分も含めてですが)多いことで有名です。 続きを読む
ワード オブ マウス / ジャコ・パストリアス 不世出のベーシスト、ジャコ・パストリアスは、生前、スタジオ・アルバムでは2枚のソロ・リーダー作しかリリースしていない。1枚目は、言うまでも無く、彼のショッキングなデビューを飾った、1976年、セルフタイトルである=「 JACO PASTRIUS 」、そして、5年後の1981年にリリースされた、セカンド・ソロアルバムが=この「 Word of Mouth 」である。 嵐の只中に居る予感をさせる、そんな重苦しい印象のアルバムだった。ニルバーナに至る静寂とニューヨーク市内の喧騒に掻き消されるような錯綜したコンフュージョン、その双方が妙に整理されずに入り混じった、不思議な作品だった。 ファーストアルバムで披露した幾多の独創的なベースソロや、当時所属していたウェザー・リポートでのステージ上での激しいパフォーマンスから、大方の予測では、華やかなベースソロのみに彩られた内容を期待しすぎ、それらを持って歓迎する向きがあったが、その一般的思惑とは食い違って、音楽的に円熟味を増し、あるいはミクスチャーサウンドの斬新さを先取りしたかのような、きわめて特異なアルバムの登場となった。 1枚目と比べると、派手なベースソロは、すっかり影を潜めていた。うがった見かたをすれば、これまでで、すべて出尽くしてしまったかのようにも思える。あたらしいものは、何もなかった、反面、集大成でもあった。 事実、ベーステクニックが手段として、おそらく手詰まりになってきたことへの焦燥感と、それにも増して自分へと浴びせられる賞賛やら手放しの賛美の力に押し潰される日々、その両方から、生来の鬱屈とした繊細な魂を蝕み始めていた。繰り返し訪れる憂鬱と天才ゆえの至高感の高ぶりの振幅が激しくなるほどに、酒やドラッグに頼らざるを得なかったのは、この頃からではないかと思う。 ワード・オブ・マウスとして世に問うた結果は、明らかな失速感であった。当時、リアルタイムで体感した、このアルバムの第一印象は、駄作そのものであった。アメリカでの評判は、急激に落ち込んでいった。いま彼が亡くなって、聞くと、なかなか素晴らしい内容であったとは思うが、なかなか、そこまで感性や趣味に付き合っている暇は無かったと思う。 ワード・オブ・マウスをリリースした翌年、ジャコは、誇示どおり、古巣=ウェザー・リポートを巣立っていった。雇い主であったザヴィヌルとの確執があったことは明白であるが、踏みとどまることより、分かれた違う方向へと進む道を、ひとり彼は選んだ。 それは同時に、大いなる庇護を失ったことになる。彼は、ますます孤立していくが、その出帆は、天才として後代に名を残す大海へとむしろ躍り出たこととなる。かつて、ジミ・ヘンドリックスや、マリリン・モンロー、ジャニス・ジョプリンなど、自分の世界では、その力を余すことなく誇示し、夭逝は世の常、わが世の春をしばし謳歌することになる。 自らの予告どおり、ジャコは、享年35歳で、その短い人生を閉じることになる。ワード・オブ・マウスを発表してから、わずかに6年後のことであった。 1982年以降、数年に渡り、大編成のビッグ・バンドを引き連れ、日本へとコンサートツアーを行った。誰の目にも、ジャコが健在であること、そして一人前の親方として君臨していることを認めさせるものであった。当時、もちろん生前のジャコの生演奏を目撃している。 すべてが、一瞬にして萎んでいった。ジャコが掲げた、このアルバムのタイトルどおり、つまり、ワードオブマウス=口コミによって、ある時は時代の窮児にまで祭り上げられ、その言動が過激になるほど、挙動不審から再起不能とまで書き立てられた。 ジャコは、その繊細なる魂を、メディアにより高め、メディアによっても潰された。まことに皮肉なことに、ジャコの生前を知らぬものたちにより、再びジャコは神格化され、違った道を歩み始めている。まさにワード・オブ・マウスがそうだったように、クロマッチック・ファンタジーがレクイエムのように暗く、重く響き渡る。 続きを読む
らーめんダイニング ど・みそ@京橋 開店2周年 京橋屋カレーを、ひとしきり食べ終わって、滴る大汗をぬぐいながら、黄色い階段を降りきると、そこには、聞いたことがある=《ど・みそ》の文字がありました。気が付けば、此処が、あの有名ラーメン店、ど・みその裏口な訳ねぇ~、などど妙に納得しきった独り言をつぶやきながら、さりげなく健啖家ライターのように連食開始。土曜の昼時からなのか、店外に並びもできる、なかなかの人気店のようです。 とは言うものの、困ったことに実は、味噌らーめんも、嫌いな部類の食べ物。元来、好き嫌いが激しい人間ですから、致し方ないにせよ、それでも食べてみる好奇心だけは旺盛なのです。それで味噌ラーメン専門店とあれば、恐々ながらも、食べて見極めてみたい気も疼くのです。この、ど・みそ (blog) さん、業界内でのヨコのつながりなんかに積極的に取り組んで、コラボなんかも連発して、ラーメン界を引っ張っている、なかなか見所が満載な店主と見受けられ、そんな点も、前々から気になっての来訪でした。 * 中央区京橋3-4-3 11:00~15:00 18:00~23:00(詳しくはHPへ) こってり味噌らーめん : 700円 ☆☆ 食した感想 : まるで油そばに、とんこつ味(背脂投入につき)+味噌味、そのブレンドを食べているような食感。麺の弾力ある硬めなプリプリ感、スパイシーな辛味が溶け込んだ油分、味噌の風味、これら三つの要素がバラバラにならず、かといって激しくぶつからず、ギリギリのところで火花を散らし、前向きに出てくる辺りが、憎い、イイトコ取りでジョイント(合体)アイテムな印象。 味は、一見すると複雑に思え、濃厚にして、こってり⇒しつこく思うが、油が入った分で、かなりまろやかな感覚になる、甘味と辛味、塩味がピッチリと定まった味わい。店主の味覚にはブレが無いと思う。それより、なにより、投入されている、もやしとコーンの甘さに感激。こんな脇役にも、ちゃんとした魂を込めて、いい素材で勝負しているところが、そこはかとなく感じられて好印象。 麺は、いま流行の浅草・開化楼特製にして、ちじれた太麺、かなり歯ごたえ良く、もちもちとして美味しい。たぶん自分が、味噌ラーメンが通例的に嫌いな理由として、高田馬場のえぞ菊みたく、ただスープに味噌を溶いただけ、それも大方味噌味のみで勝負するみたいな貧相なイメージがあって、この《ど・みそ》は、そんな次元とは、はるかに1オクターブ上を行く力作のように思える。 味的には、なるほど主張が強い組み合わせ、派手どうしの取り合わせのように思えるのだが、食後の印象からは、キッチリとまとまった、バランスの良い、かなり、こなれた料理作品として評価できると感じた。なにより、もやしやコーンに手抜かりが無いあたりに、店主の並々ならぬ料理に対しての愛情すら感じさせる。このあたりはラーメン稼業としてではなく、飲食業としては、もっとも大切なポイントだ。それこそが、こころに響く、ドミソのメロディー、それをクリアしているのなら、あとは、味の好み云々の次元。だから、此処のお店は、なかなか素晴らしい可能性を秘めた店だろうと認めたくなる。 * なお、店主が修行していたのは、両国=らぁめん ときせい(墨田区 緑)さんである。濃厚好みであるのなら、この、ど・みそさんは、ときせいさんより、かなりのマストな音階になると思う。 続きを読む
ラリマー(ブルー・ペクトライト) いまさらながら、ラリマーに想いを寄せている。ラリマーは、わたしが石に興味を抱くようになった、その端緒の石、というよりも、おそらく自分より、前に在った石のひとつなのである。ラリマーに出逢ってからは、ラリマーに教示されて何もかも始まったようなものだから、その出逢いのあとは、すべて自分を含めてラリマーの後ということになる。 むずかしい言い方だが、このラリマーの大きなスフィアが全ての源であり、創造の源泉のひとつでさえある。ラリマーは、多くを語らないが、自らの源泉から、泉のように何もかもが湧き出でて、それが如何様にも変化していく中で、かたちを変え、スピードを変え、色彩を変えて、その時空を編み上げていくようにも思う。 そして、ラリマーの波紋、色紋は、さまざまに変化しながらも、本質的にかたちを変えることなく、そこにとどまり続けている。それは伝達的な明らかなものではなく、たぶんにマージナルなものとして存在している。ラリマーという名前は、単なるお飾りのトレーディングネームでしかない。鉱物的には、普遍的に世界中に存在しているような、陳腐なペクトライトという塊に過ぎない。 そんなペクトライトが、此処までブルーの色合いを纏い、きれいなカリブ海の打ち寄せる波間のような造形美を描き出すとき、それは、宝飾性の高い素材として、ラリマーの名称で呼ばれることになる。石が生成される過程において、へマタイトを含んだ成分が流れ出すと、樹形のデンドリックな赤い模様を見せることがある。 石と出逢う瞬間は、ひととおり同じではない。だからこそ、そのひとつづつの出逢いにドラマが隠され、そこからふくらみが生まれ出るのだろう。ラリマーの蒼さは、その時々で、自らを照らす青さでもある。それは未熟で未完成だが、穢れを知らない無垢な清浄心を抱かせる。 続きを読む
甘味処 甘味おかめ@有楽町 イトシアプラザ みつまめマメに探すゾ 第15話 また、繰り返しになっちゃうんですケド、どういうわけか、美味しい、そうでもない、それが如実に出るのが甘味処なんですね。大概は、どうってことないケースが往々にしてあり、やっぱり人気が在るお店は、それなりに努力してきて、惹きつける何かがあるってことなんでしょう。 それで、銀座界隈って言えば、女子に人気な、甘味おかめが、言わずと知れた押さえどころなわけです。交通会館の支店も、現在改装中とかで、2008年4月中ごろにはオープンするらしいんですが、そのおかげで、こちらのイトシアプラザ店 は、大賑わいの様相を呈しております。 前置きが長くなりましたが、間違いなく、おかめは、美味しいんです。しかも高くない。味、ボリューム、値段、どれでも勝負できる、しかも駅から直近、これだから連日、どんな時間帯でも行列なのは、致し方ないのでしょうね。それにしても、大人気。 さらに、この店の良いのは、接客がテキパキしていて、注文すると、すぐさま出来上がってくる手際のよさに感激します。もたもたしていない、回転を早くしないと、客が並んでしまうという事情もあるんでしょうが、まぁ、それほど落ち着いて食べれない、長居無用な雰囲気は、それとなく漂っていますが、まず銀座では、おススメのお店のひとつ。 一度通えば、リピータ必至なんですが、その理由は、けっこうメニュー豊富なんですね。ひととおり揃ってるうえに、ここのウリとも言える=ソフトクリーム使いによって組み合わせが、いくとおりにも殖えていくんです。ということで、ソフトみつまめ(バニラアイス単体) : 683円(安い!) ☆☆☆☆ このソフトみつまめ、なんとソフトアイスが、バニラ、抹茶、そのミックスと3タイプから選べて愉しみも倍増します。寒天が、旨いですわ、高得点。このボリュームでさらにあんこが加わりますと、人気の蔵王あんみつ、という一押しアイテムになります。おそらく人気ナンバー1で、注文してる方が大勢いらっしゃいました。何はともあれ、甘いもの⇒おかめに行きたい!と疼き出したら、メニュー眺めて難しく考えずに、⇒即答で蔵王!っていう女性(=主流派は30代~50代)ファンが大挙して連日訪れます。 続きを読む