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別バージョン

別バージョン

内田百閒=凸凹道(桜菊書院)、漱石物語(津軽書房版)




 左 : 漱石物語、内田百閒編、1976年4.10 津軽書房

三笠書房より発刊されていた、3冊本漱石物語(三笠書房現代叢書)の合冊再刊本。



四六版に、角背紙装仮綴で、革製二重カヴァー、

灰杜松色の革カヴァーが付いている。発売当初には、このスタイルが、どうやら完本と言えそうである。



 右 : 凸凹道 1947年11.10 桜菊書院

戦後再刊本、仮綴装。もう1パターンでは、そっけない硬めのボール紙装となっている。こちらの和紙っぽいデザインの方が市場には出回ってる。



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贋作吾輩は猫である。河出文庫・真鍋 博装幀、異装版

贋作吾輩は猫である。

河出文庫における異装の数々~真鍋 博・装幀版




 地道に、各所の古書店を巡るのが好きで、一度たりとも手を抜いたことはない、そこにお宝が眠っているかもしれないからだ。内田百閒の本自体がコレクションに値するかどうかは分からないが、、装丁が異なったシリーズが多いと言うのも、大きな特徴である。おそらく、誰も把握しきれていない。



 初版と重版で、そのたびごとに印刷や装丁、戦中戦後などで紙質などが変わることは多く、まぁ、あまりに細かく見ていくと、それもタイヘンな作業となる。装丁違いは、異装本などと称され、幅広い読者層を惹き付けるために、大方、目先の変わったバージョン違いを出版元が企画発売する類(たぐい)である。



 河出文庫のバージョン違いは、結構多く、これまで、市民文庫(1951年・4月)にて初版・再販時の2パターン、河出文庫(1954年・7月)になってから並装と特装版で2パターン見つけていたが、このたび、一番右手にある、黄色い表紙でモミジが描かれたカバー付き異装本をみつけた。並装ではなく、所謂、特装版に属する別バージョンタイプだが、しかし当のカバー表記には特装の文字は無い。かなり貴重で、わたしも初めて見た。



 こちらの黄色い装幀は70年代売れっ子イラストレーターであったろう、今は亡き、真鍋 博となっている。真鍋氏は、星新一などのイラストを手掛けたことで有名になったが、SFモノ以外での仕事であり、また、シンプルで地味な図柄が、微笑ましい。



▽ 河出文庫版 吾輩は猫であるシリーズ装丁違い、5冊揃い踏みの図

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法政文芸 通巻2号 : 特集 内田百閒

法政文芸 通巻2号 特集 内田百閒



 内田百閒は、御承知のように、一時期、法政大学に独逸語教師として、雇われていた時期がある。その頃のあり様が、おもしろ、可笑しく語られることで、まあだかい(魔阿陀会)が編み出され、それが後々、黒澤監督によって、”まあだだよ”=映画として編まれた。



 そして、百閒は、法政大学航空研究会の初代会長としても活躍している。いろいろと確執があったなかで、法政騒動と言う事変に巻き込まれて、解雇通知を受け、職を解かれる。そんな、法政大学とも縁が深い、百閒であるが、法政大学の国文学会が発行し、編纂委員も居る小冊子が”法政文芸”である。



 内田百閒のオモシロ、おかしさは、無邪気でもあり、我儘であるともされるが、、、、いやはや、まったくもって小心者、いくぢなしである。



 『 百閒は、東京大空襲のときに焼け出され、前の晩に飲み残した一升瓶とメジロの鳥籠を両手に持って、命からがら逃げ出したことを書き残している。もし、うまく逃げおおせて、命びろいしたときには、愛玩する小鳥を前に、一杯の酒があるということは、生きていることを実感させるものであるに違いない。およそ、こうしたことが、百閒という人の思想であったのだと思う。 (城戸朱里)』



 『 開いて平らな百閒の文章 : 百閒は随筆家というふうには考えない。ただ、文章の緊張度の高さってことで言えば、小説の方が高いけれど、随筆っていうのはそれと別じゃない。小説と随筆とは地続きだってことですね。随筆は、山で言えば裾野みたいなものとして広がってる。だから、高くて険しくない分だけ、長閑な気分で味わうことができると、そう言う事もできると思います。



 難しく書こうとすれば書けるものを、表現をどんどんと平明にしていって、その平面が単なる平明じゃなくて、平らなままに輝いてくるような、そういう文章を生み出したと言えるかと思うんです。 (川村二郎)』



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百閒異装版あれこれ

内田百閒異装版あれこれ



 長らく探し求めていた、一冊が、晴れて、コレクションの仲間入りをした。”きつねの裁判”という童話の翻案作品で、バージョン違いというものが有って、なんと4パターン目が見つかった!まぁ、マニアでなければ、どうでもよいことだろうが、この著作には、数多くの装丁が異なった本が存在している事が知られていた。



 それらは、専門用語で、”異装本”と称されるのであるが、内田百閒の著作を蒐集し始めると、面白いのが、異装版のいろいろに当たることだ。異装とは、新装版という意味合いもあるが、初版とは違って、新たな装丁を、し直して発刊されたもので、バージョン違いともいえる。



 写真中段、左の一番コンパクトなかたちをして、本題が、右から左に書かれているのが、初版オリジナル本で、こちらが、昭和13年発行の貴重なもの。その次が、中段、向って右側が、昭和23年版の初版。そして、一番手前にあるのが、今回手に入れた、昭和23年版の三版になっており、昭和26年に出版されたもの。どういうわけか、本の装丁もカラ―で、絵がらもポップで、まことに美しい!初版より、ずっと惹かれる。しかし、二版もあるのなら、ひょっとしたら、また図柄が違ってる可能性もある。求む!情報。



 写真で、一番奥のやつは、ふつうに市場にも出回っているタイプ、昭和28年版の初版。こちらも重版は、やや異なったバージョンが存在するが、大方に違いは無い。これ以上、集めるとキリが無い。 完本 : 世に”完本”というものが、必ず存在している。古書でいうのなら、その本が発売された当初に、なるべく出荷された姿をとどめているか、それに近い状態の貴重なものだ。たとえば、売られていた当時の出版社の月報であるとか、帯付き、パラフィン紙付き、短冊(売上げスリップ)、宣材物が挟まってたり、、、、、。



 コレクターにとって悩ましく思えるのは、そういう状態の完全なものは、よほどレアであるし、得難いがゆえに高価でもあることだ。まず、1冊手にしていたところで、それ以上に、状態が完全なものが立ち現れれば、それに心が揺れるのが、コレクターの悲しいサガなのである。



 自分にとっては、そういうことより、本自体の価値は、ともかくも、まったく読まれもせず、ただ、新品そのまま、当時の状態で置かれて、謂わば眠りこけていたことに、むしろ、軽い憤りさえ覚える。案外そういうものに限って、端から、正規のルートで書店へ並ばず、添え本として無料に搬入されたものが迷子になったものである場合も多いはずなのだ。



 自分にはむしろ、読者に愛された証しが、書き込みとなって残されているような本のほうが好きなのだ。デカデカとした所蔵印が躍った本の扉、自分の蔵書となった日付の明記、あるいは、読了の際の書き込みなんかがあるほうが、なんとなく本来の読み物として役割を全うして、愛された本として価値はあると思うのだ。



 しかし、得てして、そういう風体で書き込みが目立った本など、古書市場では相手にされず、価値の低いものとみなされる傾向は、分かり切っている。

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燐寸文学全集 安野光雅・池内紀編

燐寸文学全集 安野光雅・池内紀編

筑摩書房刊 1993年




 ちょっと素敵なアンソロジーをみつけた。その名も、”マッチの文学全集”というタイトル。古今東西、世界の文学作品から、燐寸(マッチ)に纏わる文章だけを抜き書きして蒐集した粋な計らいの奇書。その収録作品は、261作家、420作品にも、及んでいる。



 もちろん、内田百閒も、、宮本常一の作品まで、キッチリと拾われて、このなかに収録されている。だから、、なんだ、と言われると、説明するのもオコガマシイのであるが、つまりは、”燐寸”というアナログな道具立てが、いかにも、ブンガクという題材になり易い、そんな特別なシンボルと情景を与えてくれるものであることに、改めて気がつかされる。



 時間が早くに流れてしまう現代、そのなかで、消え入りそうな文学というジャンルにおいて、燐寸は、いったい、どんなシンボルに映るのだろうか?



 この1冊は、また、内田百閒という自分の蒐集棚に、ひとつの灯りを点しながら、組み入れられたアンソロジーでもある。



 自分の、内田百閒をテーマとした古書蒐集にも、さまざまなエピソードがある。修善寺温泉街では、昔懐かしい貸し本屋に、思いがけず、百閒のサイン本を見つけるという僥倖に出逢った。しかし、湧き立った思惑のなか、店主は、頭を決して振らなかった。



 みんなが読む本を売りに出す術はないから、ダメだと断られた。また、ある日、有名なコレクターが逝去され、その真核を譲り受けると言う僥倖にも恵まれた。悪いことばかりではない。



だから、思う、古書蒐集とは、自分が集めて歩いた、その時々の貴重な出逢いと経緯、それらの思い出が積み重なった、それ自体において、立派な内田百閒へのレクイエムであり、またアンソロジーであると。

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とうきょうの美味しい食べ物や東日本にある温泉地の紹介です。

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